『ナニワ・モンスター』 海堂尊

本日発売の新作ですが読了しました。
今回も将来への示唆に富んでおりました。

「ナニワ」とタイトルにあることからも推測できると思いますが
今回の舞台は現実世界であるところの「大阪」です。
いつもなら主人公は田口先生だったり、世良だったりするわけですが
今回は舞台によって何人かが登場します。
主なテーマは・・・

「インフルエンザ・パニック」
「検察そして霞ヶ関」
「医療の今後」

という感じですかね。
主人公は大阪のとある町医者親子、検疫所の検査官、
検事、そして大阪府知事&彦根。
今回はいつもの作品よりも盛りだくさんですね。
ただ、実際の世界で起きてきたことをベースに書かれていますし、
2年前のあの鳥インフルエンザのことを思い出したりしますね。

いや~本当、あの2年前の鳥インフルエンザ騒ぎは遠い昔ですな。
もうわけわからない状況の中で断片的な情報をメディアがガンガン流し、
起きたのは「パンデミック」ではなくて「パニック」でした。
もちろん予防に全力を挙げるということは間違っていなかったと思いますが
「マスク」が品切れになり、どこでも「消毒」するのが当たり前になったり・・・
うちの会社でも急遽、海外に行くときは総務部に申請することになり
妹の結婚式のためにハワイに行くんで申請していったものです。
成田エクスプレスでも成田空港でも飛行機の中でもマスク着用してましたが
ハワイにいったら「誰もしていない」ってことでアホらしくなってやめました・・・

読んでいてオーバーラップするのは今回の震災後のパニック。
「買占め」「放射能」「風評被害」・・・
不確かな情報が新聞、テレビ、ネットで煽られ拡散され
普段は冷静な人たちまでもが踊らされて、さらに混乱に拍車をかける。
小説の中では「弱毒性のインフルエンザ」で浪速市(大阪)の経済が
甚大なダメージを受けるって箇所があるわけですが
現実が小説を上回ってきているわけで、そのことに恐怖を覚えます。

あとはやはり「国の無謬性」に関する話。
「国は、官は、決して間違わない」というありえない前提に基づく数々の失策・・・
仮に間違ったとしてもそれを認めないという意識。
本当、今回の震災後の対応をみてもそれは変わらないわけで
「想定外」という言葉でうやむやにしようとするわけですし、
この状況下でも縄張り争いに終始するという体たらく。
官僚は個人だと優秀なのに組織になると糞になるという不思議さ。
やっぱり内向きな組織は腐るなという典型だと感じています。

ボクは以前、お役所の方とお仕事したことがありまして
そのときもねぇ・・・担当の方々は本当に優秀で
それこそ笑ってしまうくらい文章のチェックだったり
「言い訳」だったりの論理的構成は完璧でしたが
時に呆れるくらい修正が効かない・・・そんなことを思い出しました。

あとは実際にお読みいただくとして今回も面白いですよ。

個人的には相変わらずの彦根先生。
毎度ながら「理屈」で相手をひきずりこむ姿がよろしいです。



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